エンディングノートについて
〔記事投稿日時:2017-07-07 11:35:15〕
「エンディングノート」という言葉を最近耳にするようになったと思いませんか? いまでは「終活」は当たり前のことのようになっていますが、エンディングノートの活用によって自分の死後の遺族の負担を減らし、自分自身の最期への向き合い方を考えることができるのです。
エンディングノートは、自分の死後、もしくは存命中でも認知症、意識不明状態などにより判断力や意思疎通能力が喪われた時に、家族に円滑に諸々の対処をしてもらうための覚書の役目を果たします。たとえば、葬儀に関する希望であったり、供養に関する希望、意識不明に陥った際に延命治療を行うかどうか、認知症などに陥った際の介護にかんする希望、自分が亡くなった後のライフラインや家の処分、SNSなどへの告知、アカウントへの停止まで、様々なことをエンディングノートに書き記しておくことで、家族は混乱することなく様々なことを円滑に処理できるでしょう。
ここで重要なのは遺言書とは違い、エンディングノートには法的な拘束力はないということです。ですから、相続など財産分与に関することは、エンディングノートとは別に遺言書を用意することをおすすめいたします。もちろん、遺言書の存在をエンディングノートに書き記しておくことで、後になってから遺言書が発覚して混乱する、という事態は避けられるので有効です。
葬儀業界から見れば、エンディングノートは「個人の遺志を最大限に尊重できる」という点で、存在すると非常に安心できるものでもあります。もちろん、ご予算や職場、ご近所づきあい、親戚関係など、ご遺族側の事情もありますので、必ずしも個人の希望通りの葬儀が行えるとは限りません。しかし、身内が亡くなっている状況では多くの方は多少なりとも冷静さを欠きますので、文書にきちんと意思表示がのこされていることで、葬儀を円滑に進めやすくなるでしょう。遺族にとっても、故人が望む形でのお見送りができるというのは、心の支えになるはずです。
二世帯同居は珍しくなり、独居老人となったり、高齢者施設で最期を迎える方が増えている中、エンディングノートは普段は離れている家族への希望を伝える手段であり、そして最期に愛を伝えるものにもなりえるのです。